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今さら聞けない、これから知りたい(3)チューブな話

今回は当たり前のように使っているタイヤの内側のチューブについてお話ししていきましょう。

皆さんチューブってどれも同じだと思っていませんか? 多少重さの違いはあれど、どれも一緒・・・。ではないんですよね。

それと異物が刺さって空気が抜けるのがパンクの種類と思ってらっしゃる人も多くいらっしゃるので、その辺りをお話ししていけれたらと思います。

まず種類ですが、完成車に最初から入っているチューブは、アフターパーツで購入されるチューブとは異なります。これは完成車価格を抑える為の方法としてされています。

どちらも25Cのサイズのチューブの断面を見てもらうと分かることが2つあります。

一つ目はチューブの径が明らかに違いますね。完成車に入っているのは右のチューブになります。断面径の小さな方です。径の小さい物を膨らませて使っている感じです。

二つ目はチューブの肉厚を見ると(分かりずらいですが)完成車に付いている物は薄いです。

という事は、完成車にパッケージされているチューブは薄い物を膨らませて使う感じですね。材料費削減に繋げているのでしょう。一般的に売られている値引きの大きいチューブもこんな感じですね。

一方で、きちんとサイズに合った大きさの径で肉厚のチューブは丈夫になりますよね。こう言うと必ず重いじゃないか!と否定的な意見が出るのも理解しています。ただ、トレーニングやファンライドにチューブの軽量がどこまで必要ですか?トラブルが少なくロングライフのチューブの方が圧倒的に使いやすいですよね。

レースや普段のライドでも少しでも軽量化をされたい人は肉薄の軽量チューブをお使いくださいませ(^^♪

次にフレンチバルブのバルブコア(先のネジ部分)です。

左側はバルブコアが付いていないのが見えると思います。これは取り外しが可能なので外している状態です。

こんな感じですね。外したバルブコアに平らな部分がある物は外せるバルブになります。

この平らな部分がないバルブは一体になっているので、外すことはできません。

なぜこんな所を外す必要があるの?とお思いかもしれませんが、バルブコアの先端を空気を入れてる時に曲げてしまった、あるいは折ってしまったなんて経験のある方でしたら、お分かりだと思います。ここだけ交換出来たらチューブは使えるのになぁ・・・。ですよね。

こんなツールを使ってバルブコアを脱着します。たまにねじ込み式のフロアポンプの口金を締めすぎてバルブコアが外れちゃったなんて人も居らっしゃいますが、この部分をしっかり締めておいてくださいね。

こちらは平らな部分の無い一体型のチューブ。コスト削減を大きな狙いとしているので安売りされているチューブに多くみられるタイプになります。

こんな細かい所でも安っぽい物と昔ながらキチンと作っている物の違いはあります。当然原価に直結するので、値引きを大きく見せたい商品は一体型のバルブコアが多いですね。

 

さて、次はパンクの種類を幾つかご紹介しましょう。

一般的にはガラスの破片や山を走っていると木のトゲの様なものでもパンクしますね。異物がタイヤに刺さってチューブに穴を開けてしまうケースです。

もう一つは段差を乗り上げてしまって、ホイールと路面にチューブが挟まれて嚙み切ってしまうケースのパンクがよく知られていると思います。また撥ね石などでサイドカットも砂利道などでよくあるケースのパンクになりますね。

今回は前出のケースとは違うパンクをご紹介しましょう。

写真では分かりずらいかもしれませんが、チューブに折シワがついています。タイヤの中でよれてしまっていたのが分かります。この折シワがあると破れの原因になるのはご理解いただけるともいます。

ではなぜ折シワが出来るのか?原因は簡単です。空気圧の少ないまま使っているからです。適正圧で使用していないとチューブが傷んで異物が刺さらなくてもパンクの原因になります。

次にあまり知られていないバルブの根元の劣化です。

バルブの根元がチューブから剥がれています。これでは空気が漏れるのは当然ですね。

このケースも空気圧の少ない状態で乗られているとなりやすい症状ですね。ホイールにバルブは固定されていますが、チューブ全体が片方に引っ張られていくとバイクの根元はよじれてしまいます。

こちらは剥がれが始まっている段階の物です。現状ではまだ空気は漏れていませんが、近い将来には「バシュッ」と一気に空気は抜ける可能性が高いですね。

降りでスピードが出ている状況で一気にタイヤの空気が抜けてしまうと・・・。考えただけで怖ろしいですよね。しっかり乗られる人は、パンクをしていなくても年に一度は安全なチューブと取り換えられることをおすすめします。

わずかな値段の違いで危なっかしい物を使うよりは、出来るだけ信頼できる物で安心安全に自転車を楽しんでいただける事を願っています。

おまけですが、チューブの内側もご覧ください。

バルブの所に穴が開いてますね。金属製のバルブは接着によってチューブに固定されています。

楕円形の座が見えるともいます。この部分を接着でくっ付けている訳ですね。劣化してくると安物はこの座も剥がれたりすることがありますのでお気を付けください

今の世の中、ネットに上げれば何でも正解しかないと信じ込み売れる時代。品質(クオリティ)より価格しか強調されない時代。儲かりそうなら自転車を知らない業者がまがい品をそれっぽく見せて売ってる時代ですので、ネットの中にはほぼほぼフェイクしか無いと思われたほうが良い時代が来つつありますよね。

ご来店されるお客様の中にも、とんでもない情報を信じ込んでらっしゃる人も居らっしゃいます。フェイクに惑わされないようにしてくださいね。

 

※追記 2021/7/27

パンクの種類について追記しておきます。

意外と見落とされがちなのが、リムテープの経年劣化による破れによって、ニップルホールでチューブにキズが入り裂けてしまっているケースです。

長年 圧力をかけ続けられているリムテープが損傷してしまうのは当然の結果です。品質によって長持ちする物もありますが、やはり道具は消耗や劣化をしていきますね。

裏っ返すとニップルホールに食い込んで跡が付いているのが分かりやすいですね。破れているのも見て取れると思います。

そこにチューブがめり込んでキズが入り破れてしまっている箇所です。このようにリムテープが損傷している場合は、交換しないといくらタイヤに異物が刺さっていないから新しいチューブを入れて大丈夫!とはなりませんね。

道具の全ては消耗や劣化をします。そのスピードが速いか耐久性があるかは品質によって大きく左右されます。安い物ばかり探して使っていると、こういったトラブルも頻繁に発生します。

また、自転車だから中古でも大丈夫なんて思っている人が多すぎるように思います。タイヤやチューブのような石油製品はもちろん、見えないところの布製のリムテープでさえこのように劣化していきます。

使っていなくてもベアリングのグリスは油脂分が流れ出て固まってしまいます。

ケーブル類のカバーやカーボンパーツ・フレームの塗装・プラスチック製品は紫外線による日焼けで劣化していきます。ヘルメットの寿命はおおよそ3年ですよ。と言うのは紫外線の影響を受けて脆くなってしまって、適正な強度が保たれなくなるからです。

雨水や汗などの塩分を含んだ水分は、アルミ製品を腐食させていきます。

汚れたままのチェーンで乗っているとギヤを汚れとチェーンの摩擦によって削ってしまうので劣化スピードを猛烈に上げてしまいます。

どれをとっても当たり前の事ばかりですが、自転車は中古でも新品同様のクオリティーだと勘違いされていると大きな事故に繋がる可能性が高くなりますね。

劣化の事だけを考えていると自転車に乗れませんが、それは車でもオートバイでも、道具は全て消耗や劣化していきます。自転車だけは大丈夫なんて勘違いしてはいけませんよ。それぞれに製品に応じた寿命がありますから。

チューブに限らず、メーカーやブランドによっても 製品寿命に大きな差があるので、ホームセンターブランドは「安い!」と言って売っていますが、その裏には品質の低さが隠れていますよね。壊れた時に「なんで壊れるの!」ってそこで気づかれるか、安全のためにきちんとクオリティー管理されている物を最初から使うかで、リスクはかなりの差がありますよね。

皆さんはどちらですか?